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vol.2 主催より

欲しい、を言葉にするのが苦手でした。

風船が欲しい、

お菓子が欲しい、

みんな持ってるゲームが欲しい、

あの服可愛い、

全部「ダメ」

そんなのみんな子どものわがままだから当たり前なんだけど。

お茶碗を割ってしまって買いに行って、

目の前に2つお茶碗があって、

本当は左にあったピンクのキティちゃんのが欲しかった、

でも右のブルーのキティちゃんのが安かったから、

ダメって言われないように、右のお茶碗を選びました。

自分が本当に心の底から欲しいものって何なんだろう。

SHEDDING第2弾の今回、ずっと向き合ってきたテーマです。

大好きな野球を題材にした公演をやる

それで満足しないこと

私が見せたい世界をどこまでも突き詰めること。

触れないでと叫ぶ自分を押しのけて、

その向こうにある心の声に正直になること。
うまく表現できない私の言葉を一生懸命汲み取って、

もっと言っていいんだよと背中を押してくれて、

最後まで一緒に走り抜けてくれた座組の皆さんに心から感謝しています。

皆さんが見せてくれる景色に何度も心震わせて、この日を迎えました。

本日はご来場誠にありがとうございます。

あなたの目の前に広がるのは、広大な野球のグラウンド。

盛大なブラスバンドの応援に負けない蝉の鳴き声。照り付ける陽光。

全国中学校硬式野球大会ジャイアンツカップ、夏の大一番です。

マウンドに立って汗を拭うのは、

高尾ボーイズ先発ピッチャー・谷瑞稀。

失敗してベンチに戻ると人目も憚らずぐしゃぐしゃに泣いてしまう、

私が大好きなプロ野球のピッチャーから名前をもらいました。

女房役のキャッチャーは小野奨太。

瑞稀の背後を静かに守る榊卓。

ベンチで誰より声を張り上げるマネージャー・佐藤菜奈。

その後ろでグローブを握りしめたまま立ち尽くす北川春俊。

腕組みしながら大らかに見守る監督、北川勝俊。

 

バッターボックスで瑞稀に立ち向かうのは、

稀代のホームランバッター・浅田優斗。

スタンドに座るあなたの横には、

瑞稀の母・美香子と双子の妹・瑞穂が仲良く肩を並べます。

卓の姉・カレンが旗を振りながら応援歌を歌っています。

前方には、両手をぎゅっと握りしめてグラウンドを見つめる、鳴井仙花の後ろ姿。

ラジオから聞こえてくる解説、あれ、なんだか耳になじみのある声?

怪物が生まれた「あの日」から、物語が始まります。

あなたが本当に心の底から欲しいものは何ですか?


 

​主催 爽口穂夏

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